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「ディシプリンド・アジャイル・デリバリー 〜アジャイル開発の現実解〜 」に参加しました

2013/7/16(火)「ディシプリンド・アジャイル・デリバリー 〜アジャイル開発の現実解〜 」に参加してきました。

DoorKeeper
http://devlove.doorkeeper.jp/events/4659

Togetter
http://togetter.com/li/534630
http://togetter.com/li/534921

6月に出版された以下の書籍をターゲットとした勉強会なのです。
ディシプリンド・アジャイル・デリバリー エンタープライズ・アジャイル実践ガイド (Object Oriented SELECTION)ディシプリンド・アジャイル・デリバリー エンタープライズ・アジャイル実践ガイド (Object Oriented SELECTION)
(2013/06/22)
Scott W. Ambler、Mark Lines 他

商品詳細を見る


場所は新宿のTISさんです。
参加者は60名くらいでしょうか。

ちなみに私がDADの話を聞くのは、これが3回目です。
初回は、Devsumiで江木さんの講演を聴講した時。そんとき書いたブログはこちら。

「Developers Summit 2013」に参加しました ~其の壱~
http://makopi23.blog.fc2.com/blog-entry-48.html

2回目は、DADについて弊社で講演いただいた時。
そして3回目が、今回のDevlove。

ある程度規模が大きいプロジェクト向けのアジャイル開発ガイド、一応、弊社にもあります。
しかも私、その担当者だったり。。。

んで、何かしらそこにDADのノウハウをフィードバックできないか、期待しつつ書籍を購入し読んでいたとこなのでした。
そんな私にとって、今回のDevloveのイベントはストライク!

というわけで告知を見て速攻申し込んだら、見事トップバッターだった。
20130716_devlove1.png


以下、個人メモ。スライドに無い口頭説明が多かったので、そこんとこを中心に


■DAD本(ディシプリンド・アジャイル・デリバリー)の歩き方
"DAD本"の歩き方 - DevLOVE #134 from Hiromasa Oka


■ディシプリンド・アジャイル・デリバリー エンタープライズ・アジャイル実践ガイド
・ずっしり重くて、持ち歩くとアジリティが失われる(笑
・略称は「DAD」、読み方は「だっど」
・448ページ、896gもある。

■DADとは (P.4/58)
・アジャイル開発プロセス。ちなみに「プロセス戦争はアジャイルが勝利した」と書籍の最初の方に書いてある。
・日本でも1/4くらいはアジャイルをやっているのでは。
・成功が59%で失敗6%、という統計がある。
・もっと成功確率を上げられる、としてDADが作られた。

■本書のメッセージ (P.5/58)
・DADはツールでなく、知識体系、書籍そのもの。
・この本を携えて現場に行く。

■アジャイルの現実 (P.6/58)
・"ウォーター・スクラム・フォール"の蔓延

・ウォーター・スクラムとは:
 → スクラムを始めるんだけど、その準備にエラく時間をかけて、なかなか着手しないスクラム。

・スクラム・フォールとは:
 → スクラムをやっているんだけど、なかなかデリバリしない。

・ガバナンスや組織から目を逸らす
 → スクラムっていろんなものを削ぎ落したコアなプロセス・フレームワーク。
 → しがらみのない環境で回しやすい。
 → でもお客さんに強要したり、エンタープライズから距離を置いているチームも目につく。

・流儀に固執し、古いものを否定する
 → アジャイルの世界よりも古いウォーターフォールのなごりを頭から否定する。

・ベンダーやアウトソーサーの怠慢
 → リスクをお客さんに転嫁してみたりとか、お客さんにストレスを与えてしまっている現場はUSでもよく見かける。

・これらの解決策の一つにDADがなればいいな、と思っている。

■Project Context (P.8/58)
・同じContextは、存在しない
 → 業界全体に目を広げると、エンタープライズがあったり、スタートアップ系があったり、スパコン用システムがあったり、いろんなコンテキストがある。
 → IT業界でも、違うコンテキストでモノを見てしまうことが多い。「ウチは〜だから」とか。

■Why DAD (P.12/58~P.16/58)
・これまでは、Enterpriseから離れたとこにAgileが小さくあって、粛々やってる感じ。
 → このギャップを埋めるために苦労しているのでは。

・ギャップとは
 ①予算に合わせないといけない
 ②既存システムの制約
 ③他のプロジェクトの制約
 etc

・ピュアな環境だとスクラムはうまくいく。でもエンタープライズだと、ギャップを埋めるのに苦労した・・・
・EnterpirseとAgileの間を埋めるのがDADかというと、そうではない。
・Enterpriseのど真ん中にアジャイルを持っていってみよう、というのがDADの本質。これは本に書いてない。
・エンタープライズアジャイルは、エンタープライズとアジャイルを糊代でくっつけるのではなく、エンタープライズの真ん中にアジャイルをもってくる。
・これを意識すると視界が開ける。

■伝統的なエンタープライズ開発 (P.17/58)
・ウォーターフォールは1つに過ぎない。
・ウォーターフォールは「成果物駆動」。エンタープライズ分野にそもそも合わない。

■その結果、生まれた行動様式 (P.20/58)
・BxUF(Big XXX Up-Front)
 → 要するに、「最初にしっかり〜する」
・BxUFは良くない。

■成果物駆動の活動 (P.22/58)
・20章
・各作業の間にレビューがあり、これがゲート(ルールの強要、違反の発見)。
 → 100%にしなきゃいけない、と束縛が生まれる。
 → 作る側もレビュー側も単純プロセスになる。これが一番良くない。
・本当は知的労働活動なのに、句読点チェックとか単純チェックプロセスに落ちる。
・目も時間も労力も全部そこに注がれてしまう。
・最終成果物に何も関係ないところに力を注ぎ過ぎてしまう。

■"アジャイル"な開発とは (P.23/58~P.26/58)
・AgilityではなくJIT(Just-In-TIme)。必要なときに必要なものを。

■JITの活動 (P.27/58)
・要求分析から受入テスト・リリースするまでのやり方は何種類もある。
 → それぞれ、タスク自体を必要な時に実施するのがシステム開発のJITである。
・JITに対し、RUPは成果物駆動、ユースケース駆動。必要がないところまで精緻に成果物を作っていた。
・この違いに衝撃を受けた。

■Enterprise Agile (P.29/58)
・真ん中にJITがいる。周辺は今までと一緒でいい。
・真ん中にJITを置いてあげる。これがDADの本質的な考え方。

■世代が変わった (P.32/58)
・昔のクラウドとかがまだない時代は、成果物駆動で良かった。
・でも、今はエンタープライズで成果物駆動はすでにオーバースペック。
・エンタープライズのcontextでは、95%以上はJITでいける気がする。

■Rhythm (P.34/58)
・JITとの乖離をどう埋めるか。この埋め方が Rhythm。
・3Cリズムで動くことでギャップを解決してくれる。

■スクラムの3Cリズム (P.38/58)
・プロダクトバックログからスプリントバックログに落とす箇所がCoordinate。
・スクラムでも3Cリズムで動いている。
・なので、スクラムもそのままエンタープライズの真ん中にもっていっても破綻しない。

■DAD (P.39/58)
・基本はスクラム。
・プロダクトバックログに積む前に、やることがある。これが「方向付けフェーズ」。
・作ったあとリリースに乗せるまでに、やることがある。これが「移行フェーズ」。
・アジャイルサムライも、スクラムをやる前にインセプションデッキを作れと言っている。
 → どんなプロジェクトにも方向付けは必要になる。
・DADの7章分(6章~12章)が方向付けフェーズに費やされている。
・方向付けフェーズで、ギャップを解消するための「見通し」を立てる。「解消しよう」じゃない。

■方向付けフェーズ (P.41/58)
・プロジェクト全体の「見通しを立てる」
 ①リスクを識別して軽減させよう!
 ②ヤバいものはここで調整しておけば、相当ヤバさが軽減される。
・BxUFに注意!日本人は中途半端に対し民族的に抵抗感がある。
・本の帯に「早期の詳細すぎる要求定義は、詳細化された憶測だ!と言いたい」と書いてある。
・形になってないものをいくら精緻にしても、所詮書いている人の憶測に過ぎない。

■DADに息づくプラクティス (P.45/58)
・7つのプロセスと60のプラクティスを織り込んでいる。
・こーゆう時にはこうしましょう、と具体的にスコット・アンブラーが細かくケアしている。
・それが、そのまま書籍になっている。
・どのプラクティスをどの局面で使うか、が具体的に書かれている。
・スクラムとLeanは色が強い。

■DADに備えられている戦略 (P.47/58)
・比較の表が多い。37の戦略比較表がある。そこに各戦略の利点と欠点が書かれている。
・個人的には、この表が一番使えると思っている。
・自分達が選択しようとしている戦略を、戦略比較表に当てはめて取捨選択する。そのきっかけ作りがしやすい。

■Case Study:方向付けフェーズ (P.50/58)
・12章にケーススタディで読み物形式で書いてある。
・最初にこれを読むとイメージしやすい。

■DAD本の構造 (P.52/58)
・書籍の各章がDADライフサイクルのどこに該当するのか、図に纏めてみた。
・(@makopi23的には、この図が目から鱗だった!)

■「知の道具箱」 (P.53/58)
・「知の道具箱」をみなさんの体の中に作って欲しい。DAD本は、そのためのポインタになる。
・アジャイルプラクティスだけじゃなく、これまでのプラクティスを総動員してJITに使えるように願って書かれたのが、このDAD本。

■DAD = Process Decision Framework (P.54/58)
・何らかの判断を各場面でしないといけない。その時に使える枠組みがこの書籍の主題。
・本でDADを勉強するのではなく、DAD本を現場に持ち込むこと!

■DADの学び方 (P.56/58)
1.スクラムを学ぶ
2.JITの思考と行動を習慣づける
3.DADのフェーズを学ぶ
4,3Cリズムで生活する
5.DAFのライフサイクルを学ぶ
6.属性の違う人とのコミュニケーション
7.いろいろな道具を手に入れよう

■アジャイリストの(現実的な)心得 (P.57/58)
・軸足をJITに。BxUFの誘惑に負けない。
・己の力量を知ること。(無理な規模に無理にやろうとするとハマる)
・こだわりを持ち過ぎない。(スクラムは~だから、とか固定観念は捨てる)
・アジャイルを言い訳にしない。
 (アジャイルだから〜できません、は無し。それはお客さんにとって、ネガティブ要因にしかならない)
・関係者みんなに嬉しい驚きを届けるために。(できるはず)


■グループダイアログ&共有タイム
4人ぐらいのグループに分かれ、DADについてグループダイアログをやりました。
んでその後はその共有も兼ね、岡さんとDADの監修にあたった藤井さんへの質疑応答タイムとなりました。

■アジャイルの導入
・大きなプロジェクトになると腰が引けて、「しっかり準備しよう」となる。
・それで、実装から距離を置いてしまう。デカくて失敗しちゃいけないから、準備に時間を割いてしまう。
・そうならないよう、できるならプチ基幹システムを作ってみて欲しい。
・それをやってみて、最短距離はどのくらいになるのか、目安を知る。
・ある程度自由にやれる環境にあるなら、最短距離を走ってみる。その経験が見積もりになる。
・現実的な見積もりが見えてくる。
・まずフィージビリティで最短距離を走る。

■エンタープライズって何?
・基幹システムとか業務システムとかを指すことが多い。
・この本だと、既存システムとの依存関係が避けられないシステムのことを「エンタープライズ」と言っている。
・依存がある連携先の相手は、アジャイルでやっているとは限らない。
・また、みんながアジャイルをやりたいと思っているわけではない。
・「エンタープライズ = 大規模かどうか」ではない。
・DADはエンタープライズでアジャイルをやるための、具体性を意識している。

■お客さんを巻き込むには?
・受託だとお客さんを巻き込むのは難しい。
・DADではリリースを「内部リリース」と「外部リリース」を分ける。その話は14章に書いてある。
・インセプションデッキなしにプロジェクトを始めるのはありえない。
・DADでも方向付けフェーズを最初にやる。それは7章に書いてある。DADだと、開発構想書。
・お客を巻き込めると思わないほうがいい。
・スコット・アンブラーは、「アジャイルは、持ってるお金をうまく使う手法です」と説明した。
・顧客に巻き込まれるようにしないといけない。お客さんに対する啓蒙をもっとやるべき。
・受け身のお客さんを巻き込めるわけがない。
・お客さんが本当にITの予算にシビアになるか、キャッシュアウトを減らすんじゃなくてコストを減らす意識を持たないとダメ。
・それがDADが上手くいくか、いかないかの分かれ目。
・中間の良いトコ取りはありえない。


■翔泳社の方から書籍について一言
・これまでスコット・アンブラーの本を3冊出版しているが、全く売れない!(一同、笑
・今回も編集長に3回くらい頭下げた。なのでDAD本は売れないと困る。。。

■楽天・川口さんの補足
・P.102から、スプリントの前と後にこんな作業があるよ、と言及しているのがDAD本の良いトコ。
・アジャイルテスティング、という本も合わせて読むといい。


★感想:
ホント参考になるお話が聞けて満足でした。
私はこの日まで4連休だったのですが、時間を作ってはDAD本を読んでました。
ですが、なにぶん分厚くて、どう読んでいけばいいのか悩みどころでした。。。
今回、岡さんの講演を聞いて、一気に視界が開けたと言うか、新しい気付きが多すぎてビビッた!
特にスライドP.52にある、書籍の各章がDADライフサイクルのどこに該当しているのかを示した図は、目から鱗でした。
この日の講演で学んだことを足がかりにDADの理解を広げていければいいなぁと思います。

あと、DADは1人で読むにはキツいので読書会あればいいのになぁ、と思ってたんですが、ちょうど @papanda さんがDADの読書会やるよーとツイートしてて、ナイスタイミング過ぎてフイたw


これはぜひ参加せねば。

皆様、ありがとうございましたー

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