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「Enterprise User eXperience Design - ユーザー中心設計の実践 -」に参加しました

2012/11/8(木) 「Enterprise User eXperience Design - ユーザー中心設計の実践 -」に参加してきました。

DoorKeeper(告知サイト)
http://devlove.doorkeeper.jp/events/1931

togetter
http://togetter.com/li/403898

【参考資料1】Web戦略を成功に導くためのユーザインタフェース設計プロセス(発表者の論文らしきもの)
http://www.unisys.co.jp/tec_info/tr110/11004.pdf

【参考資料2】日本ユニシスの「ユーザビリティ&デザイン」に関するサイト
http://www.unisys.co.jp/services/usability/

会場は有楽町の「ぐるなび」さんです。参加者は80名くらいでしょうか。
最近、UX、ユーザエクスペリエンス、という言葉をよく耳にするようになりましたが、UXについてほとんど何も知らない状態でした。
ですので、この勉強会は非常に興味がありました。

セッションは前編と後編の2本立てです。


前編:ユーザ中心設計(UCD)のススメ
有家正博氏によるセッションです。内容は以下の資料がベースになっています。
Web 戦略を成功に導くためのユーザインタフェース設計プロセス

■1.市場の動向
日経コンピュータとかIPAでも、ユーザビリティは取り上げられている。
カスタマーエクスペリエンスという言葉もあがってきている。

国の施策
・u-Japan政策(総務省)
 u-Japanとは、ユビキタスネットワーク社会の実現を目指して総務省が2006年から2010年にかけて実施している、ICT(情報通信技術)を推進するための政策。
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai3/3siryou40.html

・e-Japan
 日本政府が掲げた、日本型IT社会の実現を目指す構想、戦略、政策の総体。
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai3/3siryou40.html

■2.ユーザビリティとユーザエクスペリエンス


(1) ユーザビリティの歴史
1950~1980年代
 ・コンピュータ出現から普及の時代。
 ・専門家がコンピュータを使えればよかった時代。

1980~2000年代
 ・インターネットが普及した。
 ・UI&ユーザビリティの時代。
 ・Webのインタフェースの重要性が認識されてきた。
 ・ユーザ中心設計(UCD = User Centered Design)
 ・UCDの提唱者である「Donald Arthur Norman」氏の有名な著書: 誰のためのデザイン?
  
誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)
(1990/02)
ドナルド・A. ノーマン、D.A. ノーマン 他

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2000年~現在
 ・デジタルネイティブ層の出現(目が肥えている)
 ・ここからがユーザエクスペリエンスの時代

(2) ユーザビリティ

ユーザビリティはISOの中でも定義されている。

ISO9241-11
「特定の利用状況において、特定のユーザーによって、 ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、 有効さ、効率、ユーザーの満足度の度合い。」と定義されている。

(3) ユーザエクスペリエンス

最近になって、ユーザビリティによる対策で効率の改善はできるが満足度には繋がらない、ということがわかってきた。
そこで出てきたのが「ユーザエクスペリエンス」である。

ユーザエクスペリエンスとは、「ユーザビリティの上位概念」である。
楽しく、面白く、心地よく。

■3.ユーザビリティ・エンジニアリング・プロセスの紹介

ユーザビリティ・エンジニアリング・プロセスとは、ユーザインタフェースを設計・開発する際にユーザビリティ要件を満たすための開発手法。ユーザエクスペリエンスを実現するための開発プロセスである。

特徴
1.UCD(User Centered Design:ユーザ中心設計)に従った設計手法
2.Web UX 5階層モデル
3.ISEP(Infomation Service Engineering Process)

(1) UCD(User Centered Design:ユーザ中心設計)に従った設計手法
UCD(User Centered Design:ユーザ中心設計)とは、製品を利用する人にとって使いやすく魅力的なシステムや商品をデザインするための手法である。
UCDは、技術・機能の中心のものづくりから、利用するユーザを中心とした製品作りを行うためのプロセスとして
1999年にISOで策定された。現在はISO9241に位置づけられる。

UCDは5つのタスクに分かれている。
TASK.jpg
(冒頭の【参考資料1】より拝借)

1.人間中心設計の必要性の特定
2.利用状況の把握と明示
3.ユーザと組織の要求事項の明示
4.設計による解決案の作成
5.要求事項に対する設計の評価

通常の開発だと5.で終わる。
UCDは、5.で評価して設計したソリューションがユーザの要件を満たしているかがキーとなる。
満たしていなければ、2.や3.に戻ってやりなおす。

(2) Web UX 5階層モデル
5layer.jpg
(冒頭の【参考資料2】から拝借)

一見するとただの1枚の絵に見えるが、裏には表面、骨格、構造、要件があり、底辺には戦略がある。

(3) The Elements Of User Experience
ucd2.jpg
(冒頭の【参考資料1】より拝借)

1.現状調査

 フィールワーク・インタビュー、ヒューリスティック評価をやる。

2.現状分析
 調査結果を分析する。

3.ペルソナ作成
 分析結果をインプットとしてペルソナを作成する。

4.要件抽出
 ペルソナ、シナリオの中から要件を抽出してタスク分析し、画面のデザインをする。

5.プロトタイピング
 それをインプットとしてプロとタイプを作る。

6.評価
 最後に評価する。

このループをユーザが満足するまでやる。


■4.ユーザビリティ&デザインセンターの紹介

・ミッション
 ユーザ中心設計に基づく、エンジニアリングプロセスを遂行する。
 
・役割
 プロダクトオーナ⇔UX⇒開発

・ユーザビリティ支援組織設立までの歴史

 2007年 仮想組織として発足
  いろんな部署のメンバーが集まって活動を始めた。
  ユーザビリティ原理原則の調査から始めた。

 2008年 ユーザビリティ評価項目整備
  ユーザビリティ・チェックリストを用意した。
  これを作っていくうえで、ユーザビリティとは何だ、というのがわかってきた。

 2009年 ユーザビリティ・エンジニアリング検討・整備
  効率のよいプロセス、ツール群を整備した。

 2010年 ユーザビリティセンターとしての運用支援活動開始
  ユーザビリティセンター組織化に向けた企画立案

 2011年~ 正式組織化
  ユーザビリティ&デザインセンターとなった。

・きっかけ
 某自動車会社のデザイン部門を紹介していただいた。
  ・Unified Designの取り組みを紹介いただいた。
  ・デザイン専門部隊による「使いやすさ」を徹底的に研究していて、感銘を受けた。

 社内を見つめてみると。。。
  CUIが多かった。システム開発にUXを考慮しないといけないのでは、と気付き始めた。
  
 ユーザビリティを考え始めて、ある疑問が沸いた。

  1.ユーザビリティの良し悪しを表す基準が無いのでは?
  2.芸術的センスが無ければユーザビリティを纏めることはできないのでは?
  3.対象ユーザなど前提次第ではユーザビリティは違うんじゃないか?
  4.画面レイアウトの彩色は人の好みに左右されるのでは?

 まず、ユーザビリティって何だろう?なぜユーザビリティなんだろう?というのを調べてみた。

 (1) ユーザビリティってなんだろう?

  顧客満足度の重要な要素である。
   ISO-9241-11
   ISO-9126-1

 (2) なぜユーザビリティなのか?

 ・技術が急激に進歩・複雑化している。
  → 使う側の人間に配慮したものづくりの必要性が求められている。
    機能の充実と使いやすさはトレードオフ。

 ・想定利用者ごとに求められるユーザビリティは違う。
  → プロが求めるユーザインタフェースと、一般人が求めるユーザインタフェースは違う。

 ・ユーザビリティ向上の目的は何か。
  → システム負荷の軽減、ユーザサポート費用の削減、など。

 (3) ユーザビリティ向上の費用対効果
  2001年頃の、ヤコブ・ニールセンの調査によると、より成果を上げるプロジェクトは、10%を
  ユーザビリティ検証費用に使っている、とのこと。

  電子政府ユーザビリティガイドラインにも、具体的な費用効果が書かれている。
  http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/guide/security/kaisai_h21/dai37/h210701gl.pdf
  
  非常に数値は大事。なぜUXが有効か、エラい人たちに定量的に説明する時に、良い説得材料になる。
  

 (4) 何が起きているか
  ・[米国] リハビリテーション法508条
    連邦政府が管理するWeb コンテンツは、障害者にもアクセスできるものでなければならない。
    これに違反すると訴えることができる。これをチェックしている機構まである。

  ・[欧州] ISO13407
   人間中心設計の必要性の特定を求めている

  ・[日本] 電子政府ユーザビリティ・ガイドラインの発行
   http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/guide/security/kaisai_h21/dai37/h210701gl.pdf
   官公庁系の案件は、このガイドラインに遵守しなければ受注できない。

  これらの結果から、前述の疑問に対する解が導けた。

  1.ユーザビリティの良し悪しを表す基準が無いのでは?
   → No.
     経験則に基づいた評価基準、手法があれば判断可能である。

  2.芸術的センスが無ければユーザビリティを纏めることはできないのでは?
   → No.
    センス以外の、心理学とか人間工学とかで補完できる。

  3.対象ユーザなど前提次第ではユーザビリティは違うんじゃないか?
   → Yes.
    ニールセン等の調査結果により確認が可能。
    ただし、基本となる人間工学や心理学は普遍である。

  4.画面レイアウトの彩色は人の好みに左右されるのでは?
   → No.
    レイアウトや配色は根拠に基づいた設計が可能。

  ⇒ SEでも使いやすいシステムを導け出せるんじゃないか?という道が見えてきた。

 (5) 次のステップ
  1.ユーザビリティ原理原則の調査
  2.ユーザビリティ改善施策の試行
  3.全社適用活動に向けた活動
   ⇒ これが一番大変だった。
     あと、活動資金を確保するのが大変だった。
     UCDが会社に貢献できる、ということをエラいさんに説得するためにいろいろ頑張った。

 (6) もっとも大きい課題
  ソフトウェア・エンジニアリング・プロセスの中にユーザビリティ・エンジニアリングプロセスを
  どのように実行するべきなのか、というのが課題であった。

  いろんなタスクを循環して回す、というのを↑の図で説明したが、これはアジャイルに近い。
  それに対し、ユニシスはウォーターフォールが主流である。
  なぜなら案件が大きすぎてアジャイルで管理しきれないから。
  
  ・ウォータフォール型開発の中にどのようにUCDを組み込むのか?
  ・コストはどうやって見積もるのか?
  
  ⇒ どこを探しても明確な方法が見つからない。。。
    自分たちで作るしかない。

 (7) 新しいユーザインタフェース(UI)の進め方

  ・要件定義~論理設計まで ⇒ 委任契約
  ・物理設計以降 ⇒ 請負契約

  ⇒ 論理設計までにユーザインタフェースを固めるしかない。具体的には、要件定義で決める。
    遅くても論理設計までに固める。
    物理設計以降は請負契約になるので変えられない。



 (8) そして現在
  UsabilityからUser eXperience(UX)へを追求しようとしている。

  User eXperience(UX)
   ・使いやすい
   ・役に立つ
   ・好ましい
   ・価値がある
   ・見つけやすい
   ・信頼できる
   ・アクセスしやすい

  これらを体系として、2つをテーマとして活動中。
   ・ユーザ中心のものづくり
   ・表現豊かなUI

■5.適用事例

・【事例1】技術者向けの社内ポータル
 当初、誰向けのシステムなのか全くわからなかった。
 → 「開発者向」ということを明確にし、UCDを回してリニューアルした。
 
 満足度調査をしたら、リニューアル前が30%くらいだったのが、リニューアル後に70%くらいになった。
 さらにそこで終わるのではなく、アンケートをして改善をしていった。

・【事例2】コールセンター向けの画面
 CUIベースで使いづらい。
 → コールセンターの人にヒヤリングしてUCDを回した。
 → 1画面内で操作したい、というヒヤリング結果を反映してタブ切替できるようにした。
   女性がメインなので、女性が好感の持てるデザインにした。

・【事例3】デイトレーダー用の画面
 配色を黒から白ベースにした。
 取引に必要な情報を常に見えるようにした。


後編:UCDの実践
小林誠氏

1.ユーザエクスペリエンスとは
 製品やサービスを利用することによってユーザが体感する有意義な体験のこと

 (1) 機能がある(Utility)
  使いづらい、使えない、機能は満たされているけど。。。
  ↓
 (2) 使いやすい(usability)
  やりたいことは迷わずにできた。探したい情報がすぐ見つかった。特に不満なく使えた。
  ユーザがマイナスとなる感情を減らす、という観点で使いやすさを改善していく。
  ↓
 (3) 嬉しい・楽しい(User eXperience)
  嬉しい!楽しい!もっと使いたい!友達に勧めたい!
  ★使うことで得られる有意義な体験★

  ユーザに対してプラスの感情を与えられるものがユーザエクスペリエンス。

  現在は、まずは使いやすいシステムを当たり前に提供しましょう、というテーマで活動している。  

2.ユーザエクスペリエンスの例
(1)Piano Stairs
 スウェーデンの事例。左が階段で、右がエスカレーター。階段を上ると音が鳴る。


(2) The World's Deepest Bin
 世界一深いゴミ箱がコンセプト。ゴミを捨てると7秒くらい、ヒューン~と落ちる音が鳴る。


どちらも、面白さを狙っている事例。実際に使ってもらえる。
階段の方は、66%ほど利用が増えた。
ゴミ箱の方は、同じ見た目のゴミ箱より2倍以上ゴミの収集量が増えた。

ビジネス上の目標に、楽しさを利用しているのがユーザエクスペリエンスでは、と思っている。

3.ユーザエクスペリエンスのハニカム構造

 Peter Moville/ June 21,2004
HANIKAMU.jpg

それぞれ、何を最優先にするかを検討する必要がある。
どれか1つ欠けてもユーザエクスペリエンスは実現できない。

ユーザエクスペリエンスの実現のためには、以下を意識していく。
・ユーザ中心のモノづくり
・ユーザを知る
・利用目的を知る
・利用状況を知る
・ユーザ要求を知る

⇒ ユーザ中心設計

実現するためにはどうすればよいのか、という観点でテクノロジーも考えていく。
・表現豊かなUI
・デバイスに応じた最適なUI
・軽量

 ⇒ HTML5, jQuery

4.ユーザ中心プロセス(ISO9241-210)とは
・User Centered Design : UCD
・エンドユーザのニーズや要求、制約に着目してUI設計を行う

5.事例紹介
省略。。。(というか、ブログ書くのに力尽きた)


★感想:
ユーザエクスペリエンスはユーザビリティの上位概念である、ということは始めて知りました。
その程度のことも知らずに参加したんですよね。
要するに、あたりまえ品質の一歩上を行く、ということでしょうか。

デザイン、と聞くとセンスがいるんでしょ?ってなりそうですが、そうではないという話も今日ありましたし、
UXはいろいろ可能性ありそうな話だなぁ、と感じました。
あと、やっぱ、妥協する心が芽生えると、もうそこでUXはムリになるでしょうね。

これから何か作るとき、設計するときには、ユーザ観点をもうちょっと意識してみようと思います。

あと、登壇者さんが、お堅いSIerさんだと、発表資料の公開とか難しいのかな。。。
あとから見直したいときに発表資料がないと、けっこうツライですよね。
発表資料が後で公開されるか否かで、聴講中にどのレベルでメモとればいいかも変わってきますしね。

運営者さん、講演者さん、会場提供者さん、ありがとうございました。
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