エンタープライズアジャイル勉強会 2016年7月セミナー
https://easg.smartcore.jp/C22/notice_details/VlRFSU5nPT0=
場所は品川インターシティA棟12階のオージス総研さんです。
この日のテーマはDADとSAFeの紹介でした。
ちなみに私、DADやSAFeの講演は何度か聞いたことありました。
ブログにも何回かメモ書いてた覚えがあるので纏めてみる。
DAD
- 2013/2/15(金) 「Developers Summit 2013」ディシプリンド・アジャイル・デリバリー~エンタープライズ・アジャイル実践ガイド~
- 2013/7/16(火) 「ディシプリンド・アジャイル・デリバリー 〜アジャイル開発の現実解〜 」
- 2013/8/28(水) 「DAD読書会#2」
- 2013/9/30(月) 豆ナイト Presents 「DAD はアジャイル開発の決定打となるのか?」
SAFe
この日は両者揃い踏みということで、両者を比較するにはもってこいのイベントです。
以下、メモ。
コカコーラ vs. ペプシ・・・みたいな話なのか?的視点からみたDA2.0

講演資料のダウンロード
ご案内文より
- DADは去年の半ばくらいからコンテンツが広がってきた。
- Webの上でもSAFeを意識して公開ライブラリとしている。
- SAFeと同じになっちゃうんじゃないの?という疑問もあるが、でもDADとSAFeは立ち位置が結構違う。
HPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)はSAFe推し
- HPEでは、「テストだけじゃダメだよね」ということでポートフォリオとかをサポートしていこう、としている。
- SAFeの認定を受けて、ゴールドパートナーとかになってる。
- SAFeをやりながらこっそりDADをやる本を出した。
エンタープライズ・アジャイル実践入門(Think IT Books)
posted with amazlet at 16.07.24
藤井 智弘
インプレス (2016-01-18)
売り上げランキング: 462,491
インプレス (2016-01-18)
売り上げランキング: 462,491
DADの歩み
- DADは3段階で進化してきた。
- 0.x
- IBMのDB2とかWebSphereとかでDADをやっていた。
- 当時、「アジャイルなんかやりたくない」という人ばかりだったが、CTOが「アジャイルでやれ」と言った。
- IBMをアジャイル化するために外部からコンサルタントとしてスコット・アンブラーがやってきた。
- スコット・アンブラーがメンターをやりながら世界を行脚して培ったのが0.x。
- アンブラー曰く、早期バージョン。
- 1.x
- DAD本が出版されたのが1.0。
- 6月にDAD本が出て、同時にアンブラーはIBMを辞めた。
- DADのバージョンアップはWebの上のみで行われている。書籍ではない。
- 2012年Disciplined Agile Consortiumという団体をカナダに作った。
- DADのコンソーシアムであり、IBMの手から離れてメンテされている。
- DADは500ページくらいあるので、読み物として100ページくらいのイントロダクションの本が出ており、翻訳中。
- 2.x
- Web上で今公開されているのは2.x。
- 今まではDADは開発者中心だったが、IT運用とかシステム全体まで見ていこう、と広がっており、成長中。
- 2.xの翻訳も今やっている。イントロダクションの翻訳も停滞中。
Disciplined Agile Consortium
- スコット・アンブラーはCertification(認定)制度はやってはいけない、と言っていた。
- でもDisciplined Agile ConsortiumがCertification(認定)を始めた。アンブラーは腹黒いけど好き。
- Consortiumへの登録はお勧めする。無償で登録できて、簡単にメンバーになれる。
- このサイトには大事な所があって、ガチな人のディスカッションがいくつかあって面白い。
Disciplined Agile 2.X
- DA2.0の1枚絵はフラット。それに対してSAFeは階層化されている。
- DA2.0自身は大規模向けフレームワークではない。スケールアップしていくためのファクターとアクションを整理している。
- コンソーシアムのサイトでは、組織の構造に対する議論が増えている。
- ガバナンスによる議論とかオペレーション、サポートまで入ってきている。
Desciplined Agile Manifesto
- DA2.0で、 Desciplined Agile Manifestoを出し始めた。
- ぱっと見、アジャイルマニフェストと同じフォーマット。
- 「Consumable Solution」を「使用可能なソリューション」と訳した。
- スコット/アンブラーは「コンシューマビリティを向上させる」と宣言した。使い倒す、という意味。
- システムとして動いて終わりじゃない。
- システムを使うために組織構造を変えないといけないなら、そこまでやることで効果が出せる、というところまで踏み込む。というのがコンシューマビリティ。特徴的なキーワード。
- 「利害関係者」は、カスタマーより広い。影響をネガティブ/ポジティブに受ける広範囲の人。
Principals
- PrincipalsのNo13とNo15は非常に特徴的。
- No.13: 組織的な再利用を積極的に活用していこう。
- No.15: 組織のエコシステムはアジャイルチームだけでなく、非アジャイルをサポートできる柔軟なものでないといけない。
- エンタープライズアジャイルに対する見方としてSAFeとDADが一番違うのは
- SAFe: 上から下まで含めてアジャイルの事業体を運営して\いこう
- DAD: 今のエンタープライズはどうなっているかを見ている。みんながアジャイルというわけではなく、既存の技術で動いているチームもあるよね。すべてがアジャイルとは限らない混在の中で、どうやっていくか。
- これがDADとSAFeの大きな違い。
- DADとSAFeはペプシとコーラのように違うのか、というとそうじゃなくて、補完的なもの。
- DADはステップを踏んでいくイメージ。きちんと現状を踏まえてやっていきましょう。というのがPrincipal No.15に関係がある。
- これが典型的に現れているのがライフサイクルモデル。
DA2.0で頻繁にでてくるキーワード
- 1.Context
- 2."One size fit all." または "Prescriptive" (NGワード)
4つのライフサイクル
- DAD1.0ではプロジェクト期間をRUPから引っ張ってきている。
- それにフェーズを3つ降っている。方向付け、構築、移行、の3つ。コードを書くだけでなく、教育とかもやってもっていく。
- DA2.0になってから、このサイクルが大きくなった。
- 「方向付け、構築、移行」の前に「コンセプト」が付いて、最後が「運用」になった。
- コンセプト → 方向付け → 構築 → 移行 → 運用、となったが、5フェーズにはしてない。
- 「Context」というのは、アジャイルやりましょう、と一言で言っても、置かれた環境によって変わりますよね、という考え。
- 4つのライフサイクルがある。
- 「DAD 基本/アジャイル ライフサイクル」では、真ん中の構築はスクラムと一緒。
- その前の「方向付け」はRUPと同じ。
- RUPは「方向付け、推敲、作成、移行」の4つ。
- 4つ目の「推敲」を置くとそれに縛られるので置きたくない、とスコット・アンブラーは言っていた。
- 最終的には「DAD アドバンスド/リーン ライフサイクル」と、リーンまで行く。
- DADがWebでDA2.0になって、ライフサイクルが2つ増えた。
- 継続的デリバリーライフサイクル
- 探索的ライフサイクル (リーン的ライフサイクルと裏で言ってる)
- みんなコンテキストが違う。その場合にとるべきアプローチは2つある。
- 1.最大公約数を取って間引くアプローチ
- 2.パターン化して肉付けしていくアプローチ
- 前者はどかーんというのを知らないといけないので大変。
- DADは、各場のアジャイルのコンテキストを理解しましょう、というスタンス。
キーワード2
- "One size fit all." または "Prescriptive" (NGワード)
- DADはPrescriptive(規範的)ではない。ゴール駆動だ。
ゴール駆動
- やりかたはコンテキストに合わせて変えないといけない。やりかたはお客さんによって変わる。
- なのでDADは手順とかWBSを出すよりも、何を検討しないといけないかを定義して、オプションを設けている。折衷的なアイデア。
- ゴールと、やるべき中身と、取り得る選択肢を定義して、みなさんに議論してもらって判断してもらおう、というのがDADの考え。
- なのでDADはプロセスディシジョンフレームワークに名前を変えた。
- 判断できないなら、判断要素を提供する。
- How toはいっぱいいろんな本に書いてあるので、判断の仕方をDADは提供している。
- 例えば、チーム編成を考えないといけないときに検討しないといけないことをバーッと書いている。
- それぞれにメリデメと選択肢が提示されている。それぞれにWebで議論ががーっと書かれている。
- 開発のところから少し範囲を広げようというのがDAD。
- コンテキストに応じた調整。
- DADは大規模向けではない。本の帯には大規模、と書いてあったが、翔泳社の人が書けというから入れただけ。
- 可変要素=スケーリングファクター
- Deliveryという開発のタスクではないので、DADからDeliveryという単語を削除した。
- DA2.0はDelivery以外の要素がたくさん入ってきている。
- Webの記述のレベルはムラがある。
Why DA
- DA2.0が有効だとなぜチームが考えているか、9個の理由を挙げている。
- No.2の「現実的」の趣旨は、みんながみんなアジャイルじゃないよね、というコンテキストを元に考えているという点。
- Pragmaticを「現実的」と訳した。
- No.5の「スケーリング」とは、「 状況に合わせて調整する能力」のこと。
- No.8で、DADはワーキングソフトウェアだけじゃなく、ソリューションをデリバリーする、と言っている。
- No.1の「スクラムが捨て去ったもの」についてだが、スクラムは開発だけにフォーカスしていて、準備や企画や移行がないが、DA2.0はそれを拾い上げている。
SAFeとの比較
- スコット・アンブラーがDADとSAFeの比較について述べている。
- 戦略 = 選択肢を多く提示して判断してもらう
- DADとSAFeでは「エンタープライズ」の捉え方が違う。
- 判断の材料を提供する(DAD)のか、流れを提供する(SAFe)のが、が違う。
私がなぜ未だにDADをやってるのか
- 日本のお客さんは 「say agile」 が多い。
- 上がアジャイルやれ、と言う。
- 下が、何をやればアジャイルですか、と言う。
- 怖いのは、言葉が独り歩きすること。 (例:アジャイルはドキュメント作らないんでしょ)
- コンテキストとか判断を略してオペレートだけ残ると、それだけやって失敗する。
- 自分たちで判断して改善していくというところまでは、そのやりかたでは行かない。
Links
- DevOpsの中でなにをやらないといけないのかね、というのを連載で書いてる。
- http://disciplinedagiledelivery.jp/tag/devops/
- サンプルとして見てもらう。ぜんぜんツールの話は入ってない。
機敏な製品リリースを可能にする企業内の連携モデルを提示するSAFe (Scaled Agile Framework) のご紹介+α

講演資料のダウンロード
知識創造企業
- SAFeは「知識創造のコンテキスト」を形成することを助け、アジャイル企業への転換を支援する
- 野中さんの論文も開発だけフォーカスしてるんじゃない。
SAFe (Scaled Agile Framework)とは
- SAFeの階層はこれまで3階層だったが、最新版は4階層になっている。
- 戦略的な狙いを定めて、チームまでどう連携させていくかがSAFeの狙い。
SAFeの期限:過去、現在と将来
- 2012年は書籍「アジャイルソフトウェア要求」が出版された年で、SAFe 1.0だった。
- 今はSAFeは、日本語は3.0,海外は4.0になっている。
ゴール: スピード、価値、品質
- SAFeの組織として共有すべき理念 = リーンソフトウェアの家
- 屋根の価値を早く提供するのが共通の目標。リーンの大野耐一の考えを受け継いでいる。
- 理念を共通化することによって、デリバリーサイクルを縮めていく。
- 家の真ん中にある柱が「プロダクト開発フロー」で、チームで守るべき原則を定めたもの。日本語に翻訳されていない。
プロダクト開発フロー: 8つのテーマ
- 本では省略されているので是非読んで欲しい。
- 価値は早く提供するほどよい。価値は時間が経つほど低くなる。後追いはなかなか勝てない。
- かんばんのWIPで数を抑え、スピードを重視する。
アジャイルリリース列車(ART)
- ARTは開始終了日を全チームで合わせる。
- 2週間の開発が終わると、システムチームが全コードを統合してデモ評価できるようにする。
体制
- チームレベルではPMはいない。POとSMはいる。
- プログラムレベルでは、POに相当するのがプログラムマネジメント。
- 複数のチームを連携させてやっていくのがRTE(スーパースクラムマスター)
SAFe 4.0で変わった点
- 4.0から、すべての階層でカンバンが入っている。
- 単サイクルで開発することもあり。
- 4.0で1階層増えている。
感想
DA2.0という新しいバージョンの概要を知ることができたのは収穫でした。
SAFeとDADの比較も興味深いですね。
DADは以前、読書会があったのでそれ契機で結構読んだのですが、SAFeの「アジャイルソフトウェア要求」は積読っぽくなっています。
どっかで読書会、やらないかなぁ (≒ 1人で読むの辛い・・・)
関係者の皆様、ありがとうございました。
- 関連記事
-
- 「XP祭り2016」に参加しました
- 「エンタープライズアジャイル勉強会 2016年7月セミナー」に参加しました
- 「第3回 マイクロサービスアーキテクチャ読書会 #MSA読書会」に参加しました