公式サイト
http://xpjug.com/xp2016/
Togetter
http://togetter.com/li/1028069
場所は毎年お馴染み、早稲田大学です。
参加者数はクロージングで発表されましたが、ちょうど200人だったようです。
XP祭りは5年連続の参加です。毎年ブログも書いてます。
今年も入り口受付付近に並ぶ、協賛各社から提供された書籍群。

午前はXP漫才と基調講演、午後はワークショップ2つ+Agile 2016報告、LT祭りを聴講しました。
今年もとても楽しい1日でした。
以下、自分復習用のメモ。
A-1 オープニング (Agile仙人)
#xpjug XP仙人たちのトーク始まった。 いい笑顔。 pic.twitter.com/Ng8oWLFQCq
— Kenji Hiranabe (@hiranabe) 2016年9月24日
- XPはパターンランゲージ。
- XPはテストを正面にとらえて、たくさんのテストをする。
- XP第1版は価値とプラクティスが遠かった。XP第2版で、原則は価値とプラクティスとの隔たりを埋めるものとなった。
- Social Change
- うまくいったことが次うまくいくとは限らない。
- やみくもに使うのではなく、考えて使う。
- 前回うまくいったから、はダメ。
- ソフトウェアは最終的には書かないと始まらない。
- PMやコンサルが凄くてもうまくいかない。
- 動くコードにフォーカスしている。いいソフトウェアに必要なんだ。
- XPでいいと思ったところを選択して使うのがいい。
- フロー
- 活動をいかに連続して流すかが重要。
- どっかで人が入ると止まる。ボトルネックになる。なので常に流す、を意識する。
- XPが出たときは開発だけだったが、最近はDevOpsとか出てより「連続」が大事になってきた。
A-3 XPが日本のソフトウェア開発の未来を実現する
牛尾 剛さんXPが日本のソフトウェア開発の未来を実現する—Tsuyoshi Ushio
#xpjug 牛尾さん!今日は DevOps でないよ。 pic.twitter.com/KJfEIjnH77
— Kenji Hiranabe (@hiranabe) 2016年9月24日
ソフトウェア開発のよりよい方法の探求
- くやしいところがある。
- どうやったら日本の文化でXPやっていくかをテーマにしてたけど、一生懸命やってきたけど遅れてる。
- サブ・ブッケンハイマーの職場を見に行ってきた。日本は5年遅れている。
ルームレイアウト
- XP白本に載ってたレイアウトそのままやん。
- ペアプロをやれるよう、椅子にはキャスターが付いている。
- ホワイトボードも置いてあった。
- 彼らは「集中」に投資している。ヘッドホンも全員が同じだったので、たぶん全員に配っている。
- Kanbanボードもやっていた。見ようとしなくても目に入るようになっていた
- テレメトリを、いつもで見える状態にしてる。
F-Team / L-Team
- DevOpsだと、自分で運用しないといけない。それだと障害があると、開発の手が止まるのでは?という質問がよくある。
- それを解決するため、F-Teamは新機能開発専門、L-Teamはライフサイクル専門(障害対応とか)と、チームを分けている。
- F-Teamはメールを見なくてもいいくらい「集中」が許されている。
- 常にペアプロをやる。
- 俺は、L-Teamはいろいろやらないといけないので、嫌だと思ったw
- でも、F-TeamとL-Teamでメンバーを定期的に交換する仕組みにしている。
- F-Teamは常にペアプロしてるので、メンバーが抜けてもOKな状態を保ってる。
- トラックナンバーやハネムーンナンバーの心配がない。
結論
- 生産性の鍵はフォーカス。
- Kanbanとテレメトリは常時目に入るようにしている。
- 生まれてから今まで見たチームで、一番生産的なチームだった。ぱっと5時に帰る。
- 衝撃だったことは、ほとんど、知っている事で構成されていたこと。
- 彼らは、愚直にプラクティスをやってる。ルームレイアウトとかも愚直にやってる。
- プラクティスは万民に認められているのですごいもの。みんな勝手に魔改造してるんちゃうか。
- 彼らはみんな、アジャイルとかDevOpsについて誤解している可能性がすごく低くて、正確に理解していた。
- それが最近の自分のテーマ。日本でも世界最先端のDevopsに追い付き、追い越したい。
DevOps
- 継続的にエンドユーザに価値を提供する。つまり改善活動であり、アジャイルの延長。
- 自動化の話に聞こえるが、それだけではうまくいかない。
- DevOpsツール、とかいう触れ込みは怪しい。
- マインドセットとプロセスがあって、技術があると、それがほんとに1日10回デプロイできるようになる。技術だけでは成り立たない。
- それらちゃんとやるとどうなるか。デプロイ速度30倍とか、リードタイム2555分の1とか。
- これはホンマの数値。やってるとことやってないところで竹槍と戦闘機くらい違う。
- ウォーターフォールとアジャイル、そんなの議論してる場合ではない。そんなレベルの議論は10年前の話。
- 難しいことではない、やればいいだけ。そっちに向かうだけで天と地の差が出る。
- 重要なのは考え方を理解すること。
- 主要プラクティスだけでもやるだけでぜんぜん違う。
- 主要プラクティスに出ているのはXPですでに言われているもの。CIとか自動テストとか。
- いま、XPを理解している人は日本で少ないのでは。
- ケン・シュエイバーへの、ある人からの質問:「エンジニアを、プラクティス出来な人がやったらどうなるか?」
- できるけどゴミが出来上がる。
- アジャイルの考えがあって、クラウドやリーンがやってきて、ガチャンとなったのがDevOpsのコンセプト。
文化の違いによるAgile導入難度
- どうも日本でのアジャイル導入は難しい。
- サーベイによると、世界でアジャイル導入しているのが95%に対し、日本は31%。
- アリスター・コーバーンがこのまえツイートしてた。
- 日本はダントツでやりにくい。そのままでは文化的な背景があるので難しい。
- 請負契約の中でアジャイルやったりしてきたが、薄まったようなカルピスになる。
- アジャイルは西洋文化の人が考えた。日本だとギャップがある。
- なら、彼らの文化をインストールすればいい。
- 学んで、彼らがどう考えているかを理解すればいいのでは。
- 生産性は、アメリカが100に対して日本は62。
文化チェンジのおすすめ項目
- XPを導入するための3つのポイントがある。
- 1.生産性マインド
- 2.主体性マインド
- 3.雇用形態マインド
1.生産性マインド
- ありがち質問1: 予定していたストーリーが全部こなせなかったらどうする?
- なぜ海外は生産性がいいか、観察した。
- その結果、「物量がぜんぜん違う」ことが分かった。
- 海外と日本では、やらないといけない作業量が10倍くらい違う。
- 例えば、カンファレンスにいったらレポートを書かないといけない。
- 海外だと写真5枚+キーポイントだけレポートに書けばよい。
- 日本だと、カンファレンスのビデオを再度見て、パワポにきちんとまとめて・・・となる。
- レポート書く作業量は海外と日本で1と10くらい違うのに、その価値はどのくらい違うの?
- 海外では作業量が少なくてすむ。物理的にやることが少ないから早く終る。以上。
- 如何に少ない作業量で高い価値を出すかを、海外は常に考えている。
- 日本は知らん間にやっちゃってる。
Be Lazy
- より少ない時間で成果を最大化する。
非エッセンシャル思考
- ぜんぶやる
- やることをでたらめに減らす
- 結果、無力感
エッセンシャル思考
- どれを捨てるかを考える。
- やることを計画的に減らす。
- その結果、充実感
8ー2の思考
- 海外は2やったらそれで止めて、次の2をやる。
- 日本は2やったあと、10を目指す。
同じ言葉が違う意味になっているかもしれない
- 海外と日本で、同じ言葉を違う意味で捉える。
- 仕事がいっぱいで、ぱつぱつだったことあった。
- そんな時、日本のいい上司だと、手伝い増やすからがんばろう、となる。
- 海外の上司は、一番大事のやつだけやれ、とだけいった。
- それですごい集中して、すごい価値をだせた。
- でも、一人だけでやると針の筵になる。「あいつだけ毎日早く帰りやがって!」とか。
- では、どうやって解決するか?それは「一人でなくチームでやる」こと。
2.主体性マインド
- ありがちな質問: 請負契約なのでアジャイルできません、会社の制約でアジャイルできません。
インターナショナル環境は働きやすい
- 海外で仕事するのはすごく楽しい。
- ダイバーシティに関する違和感があった。
- 海外は、どんな人でも受け入れる。
- 日本だと、ダイバーシティは上から目線。
- 海外では上司は変わることを要求しない。なので自分らしく常にできる。
- 全員の働きやすさをアップする。
- 大人の概念の違いがあるのでは。
- 日本は、大人=我慢できる人
- 海外では、大人=自分が幸せになることに責任を持つ人。
- 自分の幸せが大切なので、鏡の法則で、相手の幸せも大切にする。
- 相手の考えを尊重する。相手になにかを求めない。
- 会議に出るかはその人次第、出なくても何にも言われない。
- 相手になにかを求めない文化なので、貢献するとすごいよろこんで感謝してくれる。貢献しなくても誰も怒らない。
- こーゆう文化やマインドをインストールしたほうがよりよくなると思ってる。
「失敗」に対するイメージの違い
- 日本は失敗を防ぐマインド、海外は失敗が当然のマインド。
- 英語のブログはハードルが高くない。意見が違っても、スルーされるだけなので炎上することがない。
- 日本は、非難する人が持っている「あるべき姿」と比較され、それと異なると筆者に責任があると非難される。
- 最近はブログを書いたらもう見ないようにしているw
- 海外は、意見が違うひとはスルーするか、意見をブログに書いてくれる。それは、貢献に対する感謝が裏にある。
- 常識は存在しない。すべてがあなた次第。
3.雇用形態マインド
- ありがちな質問: アジャイルできる優秀な人がいません、TDDできる人がいません
雇用制度の違い
- 日本はクビになりにくく、雇われにくい。
- 海外はすぐクビになるがすぐ雇われる
- 海外の方が厳しそうに見えるけどそうじゃない。すぐ雇われるので。
- 海外は人材が流動的なので、プロフェッショナルな人材が育つ。海外は圧倒的に窓際がいない。
- 自分をプロテクトするには勉強が一番。スキルアップしたら雇ってくれる。
- 海外は従業員満足度が高い。
- 従業員に選ぶ権利がある。会社側も、いい環境を用意して、満足度をあげて人に来てもらう。
- 条件に閉じており、機会に開いている。
- 45才でも大学で学士とったら、会社に雇用してもらえたり。
- 上司はいつも、ハッピーか?と聞いてくる。ハッピーじゃないときは相談にのってくれる。上司は私に指示しない。
エンゲージメントレベル
- 海外は「高い」が最高で、日本は「低い」が最高になっていて、真逆。
日本人の良さ
- 品質、接客、チームワーク、イノベーション、美的感覚
- 日本人の良さは、ある。でも「生産性マインド、主体性マインド、雇用形態マインド」がその良さを壊している。
- 西洋文化を学び、日本の良さを活かせば勝てる。
- 変えるべきはプラクティスではなく文化の方である
アジャイルができているか?のブログ
#xpjug 牛尾さんのセッションのブログ書いたよ。 https://t.co/kzfDqYdiwr
— Kenji Hiranabe (@hiranabe) 2016年9月24日
昼休み
今年もゲリラLTがあるということで、侍れっどさんのLTを聴講しました。
XP祭りのLT大会で侍れっどさんは毎年司会をやってますが、自分のはLTもちゃんと昼休みにやるというw
てらひでさんのLTもあったようですが、私は離れのG教室へ移動するため、聞くことができませんでした・・・残念。
#xpjug てらひで(中2病)、さんの、ふりかえり、野良LT pic.twitter.com/huM31VpoJt
— Kenji Hiranabe (@hiranabe) 2016年9月24日
G-4 プロダクトオーナーの道具箱
~30以上ものプラクティスを使いこなそう~
関満徳さん100前後くらいプラクティスとかパターンがあるそうで、POの最初の1年くらいで知ることになるのが30くらいだそうな。
多いですねー
関さんによる、セッションが始まりました〜。#xpjug #g8 pic.twitter.com/wCUSML0ixa
— masakuni kajihira (@mkaji156) 2016年9月24日
ワークショップ #1~#7 では、プロダクオーナーの役割やアクティビティについて各人+テーブルで整理していきました。
ワークショップ #1, #3 「プロダクトオーナーの役割」

ワークショップ #2, #3 「プロダクトオーナーのアクティビティ」

ワークショップ #4, #5 「アクティビティ関連図」 + #6, #7 「アクティビティに対応したプラクティス」

ワークショップで書き出した後、関さんの解説です。
年が経つにつれ、徐々にPOの役割が変わってきたようです。
- 2005年の「Mountain Goat Software」の絵は、教科書的なスクラムを表している。
- 2007年頃は、毎日リリース、という世界ではまだなかったが、その後、毎日リリース、自動化の時代がやってきた。
- 2009年の資料では、プロダクトオーナーとプロダクトマネージャが分かれていて、顧客開発とかはPOの仕事じゃないからやらないでいいよ、という時代だった。
- 2011年頃になると、日本でもスクラムが普及してきた時代で、「マネジメントどうするんだ問題」が勃発した。
- 海外ではプロジェクトマネージャとプロダクトマネージャの下に開発チームがいる、戦国時代だった。
- POに対し、いわゆる役割の委譲が行われた。マーケットリサーチやユーザの声も、POが聞くことになってきた。
- 2005年のPOのプラクティスは、2011年頃の絵の「ProductOnwer」の欄に書かれていることだけだった。
- 今はProduct ManagerからもProject ManagerからもPOに移譲の矢印が延びていて、POの仕事が増えた。
- PO研修を受けた人の理解度が、この役割の違いの差が激しい。
- POの役割について会話する時は、何年頃のPOを前提としているのか、意識会わせして話をしないといけないかもしれない。
- 2013年頃になると、POもコード書けないとダメだよね、ということで、絵に「Code」がこっそり入っている。
- 自動化の作業や構築も、POも自分でできないとだめだよね。
- 2015年頃に、「POがやらないといけないことトップ10」が発表された。まずこの10個は意識しましょうね、というくらいでよい。
関さんのワークショップはA3用紙、付箋、太ペンが潤沢に用意されていて、しっかり書き出すことを意識している点が良いですね。
E-6 「アジャイルコーチの7つ道具」の使い方
天野勝さん関さんのワークショップに引き続き、天野さんのワークショップに参加しました。
7つ道具のうち、今回はリスク分析ツリーをテーブルごとに作成することになりました。

「XP祭りの後、懇親会にも参加する予定であるが、21時までに帰宅せねばならない」というお題に対し、リスク分析を行いました。
まず、ピンクの付箋に「事象」と「影響」を書き出しました。
次に、それらに対し黄色の付箋に「要因」を書き出しました。
最後に、青の付箋に「対応策」を書き出しました。
ツリーを書く時、以下に枝の分岐を漏らさずに網羅度を高く保って書くか?という私からの質問に対し、天野さん曰く、
「網羅度は考慮しない」とのことでした。思考の発散が狙いなのかも。スライドQ3。
LT祭り
今年も12人による楽しいLTが繰り広げられました。
1人5分で12人なので、LTだけで1時間以上あるというw
XP祭り2016、ライトニングトークにて新人 小林君が永和さんのXP度合いを内部告発。彼は研究室の卒業生です。#xpjug #xpmatsuri pic.twitter.com/9hzhHMpD8M
— Hironori Washizaki (@Hiro_Washi) 2016年9月24日
LTスライドはこちらでまとめて公開されています。
http://xpjug.com/xp2016-session-a8/
クロージング
毎年恒例、書籍のプレゼントタイムがありました。
今年は初参加の方や登壇者の方が優先され、残念ながら私は書籍をゲットすることができませんでした。
・・・が、しかし!
LT祭り終了後の書籍プレゼントで、最後に残ったペヤングいただきましたw #xpjug pic.twitter.com/j1n92izlKB
— makopi23 (@makopi23) 2016年9月24日
ペヤングげっと!
感想
今年も楽しく有意義なXP祭りでした。
午後はワークショップ中心に参加したけど、エンタープライズアジャイルに関する講演も2本あったようで、そちらも聞きたかったなぁ。
ここに来ると見知った顔もたくさんあるし、講演やワークショップは質が高く、LTは面白く、朝から晩まで楽しく過ごせます。
来年もまた参加したいと思うのです。
関係者の皆様、ありがとーございました。