DoorKeeper
http://taoofscrum.doorkeeper.jp/events/4229
場所は神保町の国立情報学研究所です。
参加者は25人くらいかな。
私、アジャイルのお勉強会はこれまでもけっこー参加してきましたが、Scrum Boot Campは今回が初めてです。
一日みっちり、スクラムを楽しくお勉強できるということで、とても楽しみでした。
メイン講師は高江洲さん、サブ講師は今給黎さんと関さん。
こちらもお馴染みです。
この日の時間割ですが、Scrumを体系的に学べる講義と、学んだ知識を元に実践するワークショップを交互にやる感じです。
■座学編
by 高江洲さん
Agile、Scrumについて体系的に学ぶことができる座学編です。
以下、気になった所、なるほど~と思った所、スライドに無く口頭説明のみだった所を中心に、個人メモ。
■サイロ型な組織
「組織間の情報共有や風通しが悪く、組織運営が非効率な様」を言う言葉らしい。初めて知った。
■成功体験
・「今までうまくやってきたんだから、わざわざ変える必要ないっしょ?」
・本当か?数十年前の仕事のやり方がいいか、というと疑問が残る。
・それで成功していると思ってやっているが、実はそれって、成功していないんじゃないか?
■短絡的に考えない
・その選択肢が取れなくなった場合のことも考える。
・先送りにした問題はそのままになりがち。
・あとでソースコードを綺麗にしようとしても、その時間はぜったいにやってこない。
■ボーイスカウトを見習おう!
・通称「ボブおじさん」(ロバート・C・マーチン)の言葉らしい。
・The Boy Scout Rule : http://programmer.97things.oreilly.com/wiki/index.php/The_Boy_Scout_Rule
・「来たときよりも綺麗にして帰る」ということ。良い言葉だなぁ・・・
・ソースコードを綺麗に保て、ということに繋がる。
■問題にはみんなで向き合おう!
・犯人探しは不毛
・「人 VS 人」じゃない。向きを変える。「問題 VS 私たち」として考える。
■アジャイルソフトウェア開発宣言
・17人のうち、Scrumを提唱しているのはKen Schwaber氏とJeff Sutherland氏の2人。
・「ボブおじさん」こと、Robert C. Martin氏も17人の中に入っている。
・17人の中にいるJames Grenning氏は、先日のAgile Japan 2013で来日した。先日、組み込みの書籍の和訳が出た。
![]() | テスト駆動開発による組み込みプログラミング ―C言語とオブジェクト指向で学ぶアジャイルな設計 (2013/04/24) James W. Grenning 商品詳細を見る |
■12の原則(4)「ビジネス側の人と開発者は、プロジェクトを通して日々一緒に働かなければなりません」
・組織パターンの「信頼で結ばれた共同体」に該当する。
・原著はJames O. Coplien氏。和智さんが翻訳中。
・いくつかあるパターンの中で「信頼で結ばれた共同体」はMUSTのパターン。入り口。
・高江洲さんも査読を担当しているとのこと。
■12の原則(10)「シンプルさ(ムダなく作れる量を最大限にすること)が本質です」
・XPの「YAGNI」。
・この前、初めてYAGNIという言葉を知ったが、ここでも出てきた。「You ain't gonna need it.」
・機能は実際に必要となるまでは追加しないのがよいとする、エクストリーム・プログラミングにおける原則。
■Do Agile? Be Agile?
・「Agile」って形容詞なんだぜwww
・「何々やってたらAgileなんだぜ」ってことは言えない。
・「美しい」と同じ形容詞。「する」のではない。
・DoじゃなくてBe。
・態度からアジャイルになっていきましょう。
・形容詞は度合いが測れる。どのくらい「美しい」とか。
・「~やっているからAgile」じゃない。
・「アジャイル開発の経験3年以上」という人材募集を見ると、アジャイルがわかっていないな、と思う。
・「プラクティスをやってる」じゃない。態度のお話。
・ぶっちゃけていうと、ウォーターフォールでもアジャイルに開発することはできる。
・「アジャイル開発、無理っすわー」じゃない。「する」んじゃなくて、なればいい。
・ひとり、ふたり、と仲間を増やして、組織としてアジャイルになっていけば理想。
・するんじゃなくて、なろうぜ。DoじゃなくてBe。
■Scrumの特徴
・軽量
・理解が用意
・習得は非常に困難
(ちなみにScrum Alianceによると、Scrumの理解が低いワースト3に日本が入っているらしい)
■3本柱
・透明性 ・・・ 関係者全員が共通理解を持つ
・検査 ・・・ 障害の検知。ゴールに向かっているか
・適応 ・・・ プロセスを調整
後者2つを纏めて Inspect and Adapt と表現していた。
■優先度と優先順位
・「優先度」と「優先順位」は違う!
・「優先度」は高・中・低。優先度付してもらうと大抵、全部が「高」になる。
・「優先順位付け」は、一列に並んでいる状態にすること。
■サーバントリーダーシップ
・この前ググったが、ここでもこの単語が出てきた。もう一度ググってみる↓
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・「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」というリーダーシップ哲学。
・サーバントリーダーは、奉仕や支援を通じて周囲から信頼を得て、主体的に協力してもらえる状況を作り出す。
・http://www.servantleader.jp/about_servant.html
■プロダクトバックログ
・あとでいいなー、というユーザーストーリーは、優先順位さえまだ付けないでおく。
・さらに、まだざっくりレベルに留めておく。
・最低限必要な分だけ落とし込んで、きっちりと並べる。
■タスクボード
・付箋の剥がし方で下から捲るのはNG。以下2つのどちらかがお勧め。
①横向きに剥がす
②下に引っ張る
■「完了」の定義
・完了の定義は更新されることもある。(厳しめの方向のみ)
・最低限守れそうなものから始めて、広げていくのが良い。
■妨害リスト
・(個人的に、これはいいなぁ、と思いました。)
・非公式だがよく知られたもの
・空調が効きすぎるのでなんとかしたい、コードが邪魔、椅子が動きすぎる、etcを挙げておく。
・スクラムマスターが管理、優先順位の高い障害から取り除く。
■Scrumで定義されたイベントの特徴
・定義化されていないミーティングの必要性を最小化する。
・逆に、Scrumに書かれているものは必ずやる。書かれていないのは必要ならやる。
■スプリント計画ミーティング第一部
・スプリントの2.5%の時間をかけてもよい。40hだと1h。
(2.5%って具体的な数値が決まってるのかぁ。知らなかった。目安になりそうですねぇ)
・見積もりは、基準値を決め、整数で考える。迷ったら大きい方を取る。
・1,2,3,5,8,13の6つのポイントを使う(フィボナッチ数列)。これはトランプで代用できる。
・プランニングポーカーで、全員が提示した数値が隣り合う数字だったら、大きい方に寄せて完了。
(同じ数字になるまでやらなくてもいいらしい。初めて知った)
・1回目で全員が同じ数値を出した場合、根拠を話し合う。なぜなら、それぞれが提示した根拠が被ってなかった場合、そこが考慮漏れになってる可能性があり、そのぶん見積りが増えることがあるので。
・カードじゃなくてもよい。紙一枚を用意して、全員が指を指すことで代用できる。
■KPT
・Tryは挙げすぎても現実的じゃないので、できるもの優先で。ただ、最初はあんまり気にせず挙げてよい。
・Problemは、それを解決するためのTryを考えて入れる。Tryに挙げた項目は次のスプリントで実践する。
■ワークショップ編
by 今給黎さん、関さん
ワークショップはチームで行います。私のチームは4名でした。
ちなみに、昼食もチームで外食に行きました。これもとても楽しかったですねー。
チームメンバーからいろんなお話が聞けて、これぞ社外勉強会の醍醐味です。
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話は戻って、最初のワークショップはペーパープロトタイプの作成です。
これ、POStudyでも以前テーマになってましたね。私も参加してやったことあります。
私は復習ということで、今回も楽しく紙工作しました。
幼稚園児の頃は紙工作が大好きで、よく先生から褒められました。懐かしくもあります。
以下はP.21の「一括選択」のペーパープロトタイプ。クリアファイルを使うトコがミソです。

次は、「しりとりマンダラート」というのを使ってWebサービスの題材をチームで考えます。
P.26の用紙に書いていくんですが、このプラクティス、初めて知りました。
予想外にいろんなアイデアが出てきて、こんな手法があるのかぁ、なるほどなぁ~、と感心したり。
そのあと、各自で出したアイデアをチームで議論し、そこから1つを選択。
んで選択したそのWebサービスをペーパープロトタイプで開発します。もちろんScrumで。
このワークショップ、面白いですねぇ。みんなでワイワイガヤガヤ。
PO役にヒヤリングしてバックログ書いたり、先にやったペーパープロトの知識を応用してモノづくりしてみたり。
『Scrum Boot Camp in NII』大盛況です。#scrumdo #scrumbc… (w/ Nawoto, imagire, & Makoto at @jouhouken) [pic] — https://t.co/PjuTRK6e9f
— fullvirtue (@fullvirtue) June 15, 2013
最後に、Scrumで開発したペーパープロトのシステムを使って、各チームでプレゼンします。
ちなみに参加者全員で採点も行うのですが、ウチのチームは同率で一位でした!
ウチのチームの模造紙&ホワイトボードはこんなカンジ。良いチームだった!

★感想:
とても有意義な1日でした!
Scrumを体系的に学べましたし、ワークショップでワイワイやって、とても収穫の多いイベントでした。
エンジニアなら是非、一度は参加したほうが良いと思います。オススメ!
純粋に、楽しいってのが素晴らしいですね。しかもこれで参加費たった300円とかw
個人的には、Scrumの曖昧だった知識を補うことができたのが良かったです。感謝!
最後に講師の皆様、スタッフ様、チームメイトさん、参加者のみなさん、ありがとうございました~