2012/10/3(水) 「オブラブ Agile2012報告会」に参加してきました。
DoorKeep(告知サイト)
http://esminc.doorkeeper.jp/events/1708
Togetter
http://togetter.com/li/383842
ゆかりんのーと
https://yukar.in/note/ckFkif
Agile2012公式サイト
http://agile2012.agilealliance.org/
会場は麹町のKDDIウェブコミュニケーションズです。参加者は50人くらい?でしょうか。応募は満員でした。
周りを見渡すと、見知った顔が非常に多いです。
アジャイルサムライ横浜道場とか、Devlove道場の常連さんとか。
今回、Agile2012の報告をしてくだった登壇者は、以下の3名の方です。
・西村直人さん
・安井力さん
・市谷聡啓さん
また、司会進行は 角谷信太郎さん です。
登壇者さんと司会者さんの紹介は以下のイベント告知サイトに説明があります。
DoorKeep(告知サイト)
http://esminc.doorkeeper.jp/events/1708
登壇者さんも司会者さんも、みなさんアジャイル界隈では超有名人ですねー。
私も「アジャイルな見積りと計画づくり」と「アジャイルサムライ」は読みましたし、
DevLove主催の勉強会にも参加してますし。
なお「Agile2012」とは、アメリカのダラスで8/13~8/17に開催されたアジャイルの世界的なイベントです。
ちなみに参加者は1600人くらいで、日本からは27名が参加したそうです。
Agile2012公式サイト
http://agile2012.agilealliance.org/
以下、メモ。
■懸田 剛さんによるAgile Conferenceの紹介
・愛媛県在住
・永和システムマネジメントで働いていたが、愛媛でカルチャーワークスという会社を起業
・Agile Conference 2008で登壇(安井さんと木下さんと発表しに行った)
・XPのカンファレンスが纏められてAgile Conferenceになった
・アジャイルやってる人が集まってワイワイ騒ぐ会
・参加者の25%くらいが登壇してしゃべる(しゃべる人の割合が非常に多い)
・1週間ぶっ通しでアジャイル漬け
■Agile Conference 2012へ行く前と行った後の気持ちの違い
●西村さん
・行く前:
今回初めて参加。一回くらい行ってみたいな。
・行った後:
もう一回くらい行ってもいいな。
●安井さん
・行く前:
- 3回目の参加。
- どうせ行くんなら自分のセッション発表しないと意味無いと思った。
- 二人の引率役として参加。
・行った後:
- 風邪を引いて1ヶ月くらい直らなかった。体力ないと辛い。
- 大御所たちと会ったり話きいたりして刺激を貰った。
●市谷さん
・行く前:
英語が不得意。誰とも話をしないで行こう、と誓って行った。
・行った後:
2013年にナッシュビルであるカンファレンスで登壇してみようと思った。
●角谷さん
・自己紹介:
Rubyで書く人が好きな人を手懐けてアジャイルやる。
■やってきたこと
●安井さん
・8/13~8/17の1週間くらい。引率業。
・大御所の中でも、この人の話が聞きたい
- リンダ・ライジング(Linda Rising)
- ロバート・C・マーチン(Robert C. Martin)
オーラがある人たちが向こうにはたくさんいて、空気を共有してくることが価値。元気の素になる。
リンダなんかは、年をとっても元気というイメージを植えつけたい、というカンジで、ほんと元気。
●市谷さん
・楽天の藤原さんと及部さん、オージス総研の伊藤さんと4人で行動を共にした。
・Agile Conference 2012には、日本人は27人が参加。
・アジャイル事業を進めていく立場なので、向こうでどういう課題があって、
どういう解決を編み出しているのか、を盗んで日本で活かしたいと思った。
・ManasLinkでAgile 2012の現地レポートを4人で書いた。合計30本くらいのうち、市谷さんは4本。
コチラ → Agile2012 Summary
・英語が不自由なので、誰とも話をしないでおこうと思ったが、これから1年英語勉強をするという誓いを立てた。
●西村さん
・行く前のミッション
① 腕試しをしてみたい(セッションとか)→ やってきた
② 日本と海外は違う、と言われるが、そんなことないだろ、と思ってる。
→ 本当にそうなのかの確認しに行ってきた。
③ 今、本を書いている。
→ アジャイルサムライの著者のジョナサンに、前書きを書いてもらう約束を取りに行ってきた。
どれもミッションコンプリートして帰ってきた。
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①について。Open Jamというフリーのセッションスペースがあり、飛び入りで喋れる。
参加者1600人くらい収容の大きなホテルの、すごく広い廊下をぶち抜いて、Open Jam用スペースになってる。
希望の時間にこれやる、と書いておけば、その時間になにをやってもよい
廊下の片隅に椅子とかプロジェクタとか、ホワイトボードが置いてある。
Open Jamの写真 → [8/13] Agile 2012 始まる Agile2012 現地レポート(6)
西村さんがやったのは、30分くらいのオリジナルのワークショップ。
タイトルは「書き取り」。外国人の方に漢字の書き取りをしてもらう。
内容はすごくショボくて、黒歴史。でも、10人くらい参加してくださった。
西村さんのブログにも写真があります。
ヲトナ.backtrace 「Agile 2012 の報告会をやります #oblove」
●安井さん
・Open Jamでボードゲームみたいなワークショップを作ってやってきた。
・テーマは「プロダクトバックログ」
最初に1からかいてやるのがいいのか、流動的にやるのがいいのか、を体験するワークショップ(ゲーム)
・2回やって、1回目は3人、2回目は日本人だけ6人でやった。
・向こうの人達からフィードバックをたくさん得られた。
■見聞きしてきたこと
●市谷さん
・印象に残ったセッションが3つあった。
・1つ目はAlan Shalloway氏のセッション
- [8/14] Leanがビジネス価値を駆動する Agile2012 現地レポート(15)
- バリューストリームで価値を発見するフェーズとデリバリーするフェーズの2つがある。
- 「スクラムマスター」と「プロダクトオーナー」と「開発チーム」だけじゃなくて、
もっと役割を増やさないといけないね、という話。
- 「プロダクトマネージャ」を置きましょう。
・2つ目は、Henrik Kniberg氏のセッション
- [8/14] へんりっくのかんがえたさいきょうのかんばん Agile2012 現地レポート(17)
- 「塹壕より Scrum と XP」という有名な文章を書いている。
- 大規模となったとき、朝会のレイヤーを分けてうまくやっていきましょう、という話。
・3つ目は、Dean Leffingwell氏のセッション
- [8/15] Legacy MindsetからLean-Agileへ Agile2012 現地レポート(25)
- 「アジャイル開発の本質とスケールアップ」という書籍を書いている。
- 大規模開発をやるうえで、ストーリのサイズがデカすぎる。
- ユーザストーリで表現するには大きすぎるので、3つのレイヤーに分けよう。
①エピック
②フィーチャ
③ストーリ
- リーンをやる上での心構えを10個挙げている。
■思ったこと
●市谷さん
・大規模開発どうしよ?というテーマが流行ってた。組織単位でどうやろうか?が日本との違い。
・大規模どうやって戦うか、ということで、多くの人が「リーン」って言ってた。
●安井さん
・大規模の補足。基調講演がそもそも「Scaling up Excellence」というタイトルだった。
- アジャイルで上手くいってるやり方があったら、全社や全世界にいかに広げていくか、というテーマ。
・ワークショップの中にいかにゲームを取り込んでワークショップを活性化するか、
というセッションを聞いてきた。
- 1つ目のセッション:
すごく複雑なルールが書いてある紙が用意されたゲームを用意したので、やってみてよ、というカンジ。
本当のプロジェクトをゲームとしてシミュレーションする。
いろんなプラクティスをPJにどう入れていくのかを試行錯誤するゲーム。
- 2つ目のセッション:
参加者がグループに分かれて、これからゲーム作ってください、というセッション。
道具はたくさん用意されている。
作り方にルールがある。
P: problem まず問題に注目する
L: learn そこから何を学ぶか
A: aspect どういう観点からアプローチするか
I: invent ゲームの発明
D: devleaf 振り返り
アジャイル現場でやってる人がメインじゃない。
アジャイルをやってる人を支援・サポートする人が使える道具を提供する、というテーマのワークショップ。
●西村さん
・興味があるやつを雑多に聞いてきた。
・1つ目は、大御所の話。
- 大事なことをあの手この手を使ってどう上手く説明するか
- このプロジェクトはおいくら万円ですか、という質問に答えるセッションがあった。おもしろかった。
・2つ目は、自分と同じ世代、ちょっと上の世代の人の話を聞いてきた。
★思ったこと
・日本だと、サポートしている仕事のノウハウが個人に依存している。
みんなで使えるようにするという発想がまだない。
海外はそういう共有があるようで、一歩先に行ってる。
・「何かを持って帰ろう」とか「自分の主張をしたい」という気持ちを持ってきてる参加者が多い。
そこが、日本とは違うと感じた。
・セッションの参加者の割合
- 開発者: 1割
- PM: 3割
- スクラムマスター: 3割
- アジャイルコーチ: 2割
- CIOとかCTOとか: 2~3人
中間管理職の人が多いかも。年齢層も高い。20代の人はあんまいなくて40代くらい。
・参加費用
- 参加費が定価で2000ドル
- ホテル1000ドル
- 飛行機代とかもあるので、日本からだと50万円くらいかかる。
- 個人参加者も多い。USAでは、個人事業主として、確定申告で税金として落とせるらしい。
- LLC(Limited Liability Company・有限責任会社)の人が多い。
■聞いてみたいこと(質疑応答)
Q1.
どんなカンジのソフトウェアを作ってる参加者が多いのか?
A1.
受託開発の匂いはしない。サービス作ってる人、コンサルの人が強そう。
向こうは、コンサルは辣腕をふるってるかんじ。Henrikとか。
ただ、軍関係の開発でアジャイルが導入されている、というセッションがあった。これは受託のはず。
ただし、話すネタとか困ってることとかは、受託とかサービスとかあんま関係ないイメージ。
オフショアの人も来てたし。テーマとしてはあまり区別せずに話してたイメージ。
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SAF(Scaled Agile Framework)の話は、みんなが使う。
エピック、フィーチャー、ストーリをそれぞれバックログで管理する。
各バックログにかなりの人数が張り付いてるかんじ。
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A2.
日本だと、そうはいってもアジャイルは難しいよね、抵抗あるよね、という話が出てくる。
カンファレンスはそーゆう話は出てくるのか、それともアジャイルやってる前提なのか?
Q2.
アジャイルやってる、は大前提。
すでにやっていて、どうやって広めていくか。オフショアでどうやるか。という話が多い。
技術的な話はあまりなかった。
USAの開発プロセスで一番多いのはスクラムで38%、アジャイル入れてスクラムを入れてだと60%。
なので、アジャイルやってる人しかこない。またアジャイル前提のツールしか売れない。
日本では、そこがギャップで、そーゆうツールは売れない。
アジャイルやってることが前提、という話の補足。
・やってることは前提。ただし無理やりやらされている。
・やらされているけど、困ってる人が一定数いた。
・他の会社ではどうやってるのか、という観点でセッションに群がる人も一定数いた。(3割くらい?)
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A3.
海外では、ビジネスの根幹に関わっている印象だったが、その辺を伺いたい。
Q3.
SAFだと、一番上はプログラムポートフォリオ。
わが社は何をやっていこうか、という話があって、それをやるにはどういうフィーチャーがあるのか、
という話をレイヤーで管理してる。ビジネス直結してるかんじ。
SAFの話題がホットで、やろうとしている状況。ただ、それがガンガン回っているか、というとそうではない。
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A4.
アジャイルというと作ることに注目が集まってるが、運用周りでアジャイル、という話はあったか?
Q4.
運用の話は少なかった。あったのは↓
・エンジニアの話
・プロジェクトの話
・そっから先の話は、一気に組織の話
その間の、運用の話とかは無かった。運用の話とかはもっとあってもいいかな、と思った。
Agile 2012のカテゴリーはこんなカンジ。http://agile2012.agilealliance.org/program/stages1/
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補足。
「Enterprise Agile」とは、大きいアジャイルではなくて、大企業をどうやってアジャイルにしていくか。
今回は「Enterprise Agile」がメインテーマの1つだった。
リーンは、いくつか流れがある。全部別。
①Mary Poppendieck(メアリー・ポッペンディーク)氏の「Lean Software Development」
②Eric Ries(エリック・リース)氏の「Lean Startup」
③David J. Anderson(デビッド・J・アンダーソン)氏の「Kanban」
それぞれ、トヨタのリーンの良いトコ取りをしてるカンジ。
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Q5.
海外と違うこと、違わないとこ、似てるとこ、を聞きたい。
A5.
・西村さん
違いは、やってる人数と年数だけかな、というカンジ。
海外で聞ける話は、日本でもきける話が大半。
ただ、いろんな人がアジャイルをやれるように、何をしなければいけないのか、なんとかしてうまくやろう、
という話は、日本にはないなぁ、と思った。
・安井さん
こだわりが強い人が多い、と感じる。
このやりかたで頑張るんだ、これが俺のやり方だ、という態度が多いように感じる。
だから発表者も多い。
逆に、日本はいいとこどりしよう、という姿勢を感じる。
日本は良い感じに纏める、というのが得意な感じ。
・市谷さん
日本:チームで開発するにはどうやってうまくやっていこうかという話が多い。
海外:ビジネスの価値にフォーカスした話が多い。
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Q6.
セッション応募をRejectされたとのことだが、AcceptとRejectの差は何か。
A6.
Rejectされたのは、PRが上手くなかったのが原因。
Acceptされた人のは、PRが上手かった。ただ、内容が酷いのもあった。
何が良いのが、をPRすることが大事。
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Q7.
Agile 2012に参加してみて、次に取り組んでいこうと思ったことを教えて欲しい。
A7.
・安井さん
Open Jamでやってきたゲームが会心作だと思っている。
アジャイルを現場でやっている人を支援する人に、ツールを提供したいと考えている。
・市谷さん
向こうに行くと、物理的に一人ぼっち。会社とか家族とかコミュニティとかと切り離される。
なんで、いろいろ考えた結果、できるだけひとりで生きていこうと思った。
ひとりでどこまでできるか、向き合おうと思った。ひとりでできることを増やしていきたい。
・西村さん
アジャイル開発というキーワードで、みんなが自然にしゃべれるような環境になるようしたい。
アジャイル開発はさも当然、という前提で、いろんな人とできるような環境にしたいと思った。
感想:
いつもは日本に閉じてますが、今回、海外のアジャイルの話が聞けたのは非常に良かったです。
しかも、日本の第一人者とも呼べる人が感じたコトも合わせて意見が聞けましたし。
こーゆう話を聞くと、非常に刺激になります。
あと、視野を広げるためにも、英語ってやっぱ大事だなぁ、と痛感しました。
いろいろサイトとかも紹介されてたので、見返してみようと思います。
登壇者の皆様、会場提供者さん、ありがとうございました。